本記事では、2016年出版、55万部突破のベストセラー「はじめての人のための3000円投資生活」をご紹介します。
本書の結論を先に述べると、
ということです。
本書はそんな方の背中を押してくれるような内容となっています。
なぜ投資を始められないか?
そもそも投資を始められないのはなぜでしょう?
本記事に足を運んできてくれた方は、投資に興味を持った上で、始める前にしっかり知識を付けようと情報を集めている真面目な方が多いはずです。
そして真面目な人ほど、
「損をしたくない」「やるからにはしっかりやらないと」
と、投資関連の本やホームページで勉強し、事前準備に時間をかける傾向があります。
中には、調べていくうちに、ネガティブな情報を見て怖くなったり、情報がありすぎて逆にどうしたらいいかわからなくなったりする人もいるとのこと。
結局どんな勉強やシミュレーションも実践にはかないません。「習うより慣れよ」です。
そこで本書おすすめの「月々3000円」という投資金額は、次の2つのメリットがあります。
- 初心者の方でも怖さを感じず投資に回せる丁度いい金額
- お金にあまり余裕がない方でも、貯金しながら投資に回せる金額
少額だとしても実際に「投資」を始めると、お金に対する意識や、経済へのアンテナががらりと変わるといいます。
とにかくまずは「やってみる」ことが大切です。
そして「3000円投資」で実際の経験を積んだ後、必要に応じて金額を増やしていくというのが、取っつきやすい投資の手順です。
投資を始めよう
前置きはここまでにして、ここからは具体的にどのように投資を始めればいいか説明します。
投資を始めるステップはとてもシンプルで、次の2つしかありません
- 証券口座を開設する
- バランス型投資信託を買う
STEP1:証券口座を開く
投資生活を始めるにおいて、もっとも面倒くさいのはこの口座開設と言えるでしょう。
逆にここさえ乗り切ればあとは簡単なものです。
以下、口座開設のポイントを簡単にお伝えします。
ポイント1:ネット証券で口座を開設
ネット証券で口座を開設するメリットは3つあります。
- Web上で手軽に申し込みできる
- 各種手数料が安い
- (商品が豊富)
中でも特におすすめの証券会社は「楽天証券」です。
数あるネット証券の中でも、手数料の安さや、楽天ならではのポイント制度などで人気が高く、2020年度の口座開設数では堂々の第2位。
手数料の安さ、商品の充実度が魅力の「SBI証券」(口座開設数第1位)と比較されることが多いですが、
- スマホアプリの使いやすさ
- 楽天ポイントを投資に利用できる
- 楽天銀行と連携することで預金金利が上がる
などのメリットが初心者の方でも享受しやすいということで、個人的には楽天証券がおすすめです。
証券会社を決めたら、「口座開設申込」を開き、必要事項を記入していきます。
ただし口座開設にはマイナンバーが必要です。具体的には次のいずれかを用意する必要があります。
- 通知カード
- 個人番号カード
- マイナンバーの記載された住民票の写し(コピー可)
- マイナンバーの記載された住民票記載事項証明書(コピー可)
開設を考えている人は早めに手続きしておくことをおすすめします。
ポイント2:口座の種類は「源泉徴収なしの特定口座」
口座開設の際には、
- 特定口座にするか一般口座にするか
- 特定口座を開設する場合、源泉徴収をありにするか、なしにするか
を聞かれます。
聞きなれない言葉が並んで難しそうですが、3000円投資生活を始めるのであれば、
を選んでおけばOKです。これからその理由を説明します。
投資によって(給与以外で)年間20万円以上の収入を得ると、確定申告をし、税金を納める必要があります。
その際「年間取引報告書」という書類を作成する必要があるのですが、それを証券会社が作成してくれるのが「特定口座」、自分で作成するのが「一般口座」です。
確定申告をしなければならなくなったとき、一般口座だと面倒な書類作成をすべて自分でやらなければなりません。
一方、特定口座ではその手間を省くことができます。
次に、「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の違いは以下の通りです。
- 源泉徴収あり:必要な手続きは証券会社が代行してくれるため、確定申告の必要なし
- 源泉徴収なし:必要な手続き(確定申告)を自分で行う
ぱっとみ、手続きを代行してくれる「源泉徴収あり」の方がお得な感じがします。
ところがこちらを選ぶと、利益が20万円以下でも20%の税金が自動的に徴収されてしまいます。(いったん源泉された税金を返してもらうことはできません)
3000円投資の場合、最初のうちの利益は大きくはないので、「源泉徴収なしの特定口座」から始めるのがお得というわけです。
また、利益が20万円以上出たとしても、確定申告をしなくてよい方法もあります。
「NISA口座」または「つみたてNISA口座」を開設する場合です。
NISA・つみたてNISAについて
「NISA・つみたてNISA」とは、投資の利益にかかる税金が非課税となる制度です。
NISA口座・つみたてNISA口座内での投資は非課税ですので、確定申告も納税も不要となります。
ここでNISA制度について詳しく解説すると長くなってしまうので割愛しますが、NISAとつみたてNISAの特徴をまとめると、下記の表のようになります。

つまりは
- つみたてNISA→投資初心者・手間なく長期的に運用したい人向け
- NISA→様々な商品を組み合わせて、能動的に資産を増やしたい人向け
ということです。
本書のように毎月定額でコツコツ資産を形成していくなら、長い目で積み立て投資することに長けた「つみたてNISA」がおすすめです。
ただNISA口座にもデメリットはあります。
それは、NISA口座間や、NISA口座と通常の口座間で「損益通算」ができないという点です。
また、税制面ではかなり有利なNISAですが、月々3000円の投資で「税金がかかる20万円以上の利益」を出すにはそれなりに時間がかかります。
もし本書の通り3000円で投資を続けるなら、NISAを利用するメリットはしばらくないため、本書では「NISAを無理に使う必要はない」と述べています。
しかし、同じ条件で月々30000円の投資を考えると、利益が20万円を超えるのは大体5年後です。
NISA・つみたてNISA口座では、「すでに一般口座・特定口座で保有する株式などをNISA口座に移管することはできない」という特徴があります。
「投資の元本が大きくなってきたから、NISA口座にファンドを移して非課税で利益を確定させたい!」
と思ってもそれはできないわけです。
よってある程度の額(2~3万円くらい)での投資を考えるなら、最初からNISAを活用すべきだと思います。
以上を踏まえて、個人的な結論を申し上げると、
- 本書の通り月々3000円から投資を始める方→「源泉徴収なしの特定口座」
- 少し余裕があって月々2~3万円くらいの投資を考えている方→「つみたてNISA口座」
ということになります。
(つみたてNISAの非課税投資枠は年40万円のため、月々33333万円が非課税枠内での最高額)
STEP2:バランス型ファンドorインデックスファンドを買う
証券口座の開設についてわかったところで、ここからは「実際どんな金融商品をけばいいのか?」を説明します。
本書が初心者の方に向けておすすめしているのは
- バランス型ファンド
- インデックスファンド
の2つです。
ちなみにこの2つは「投資信託(ファンド)」と呼ばれるものです。
念のため投資信託についても軽く触れておきます。
投資信託について
投資家から集めたお金を1つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式・債券・不動産などに投資・運用し、成果に応じて収益を投資家に分配するというもの
投資信託のメリットには次のようなものがあります。
- 少ない金額から購入できる(普通に株式や債券を購入するとなると、ある程度まとまったお金が必要)
- さまざまな資産に分散して投資できる(リスクが軽減される)
- 購入しづらい海外株式や債券も手軽に購入できる
ただ、直接株式や債券を購入するよりもコストがかかることは頭に入れておく必要があります。
投資信託の運用にかかるコストは、主に次の4つです。
- 販売買付手数料:投資信託を購入する際にかかるコスト
- 信託財産留保額:投資信託を解約する際にかかるコスト
- 信託報酬:運用期間中ずっと支払うコスト
- 隠れコスト
最近は「販売買付手数料」、「信託財産留保額」が「0円」の投資信託も多いですが、最も注目すべきは「信託報酬」です。
信託報酬は、投資信託を運用している間ずっと支払い続けるものなので、月々3000円を、長期でコツコツ積み立てる本書の方法では一番重視すべきコストになります。
1~3のコストは、投資信託の説明書のようなものである「目論見書」を見れば簡単にわかります。(Webで検索すればすぐ出てきます)
一方「隠れコスト」については、時期によって変動するため、目論見書で確認することはできません。
「運用報告書」という投資信託の「成績書」を見て初めて分かります。
これらをすべて合わせたコストは「実質コスト」と呼ばれます。投資信託はコストがすべてではありませんが、コストが低くて損をすることはありません。
これからご紹介する銘柄はこの実質コストが低いものとなっているので、その点安心していただいて構いません。
バランス型ファンド
バランス型ファンドとは、日本・海外の株式や債券、REIT(不動産)などがバランスよくパッケージされた商品です。
これを1つ買うだけで、複数の対象にすることができ、「難しく考えなくても分散投資できる」という点が一番の魅力です。
またバランス型の投資信託は、「リバランス」を運用会社が自動でやってくれることも大きいでしょう。
リバランスとは、分散投資での資産配分を、相場の環境に応じて適切な配分に戻すことです。
長期的に複数の資産を組み合わせて運用する場合、時間の経過と共に相場が大きく変動することもあります。ある資産は値下がりしているのに、別の資産は値下がりしてしまい、想定していた資産配分からずれてしまいます。
ずれてしまった資産配分を放っておくと、想定よりリスクを取りすぎたり、想定よりリターンが劣ってしまったりすることもあるので、適切なリバランスは一定の効果が見込めるのです。
一口にバランス投資といっても色々ありますが、本書がおすすめしているのは安定感のある堅実な商品となっています。
大きな値上がりはしにくいですが、マーケットが不調の時もお大きな値下がりはしにくいため、
- 投資について何もわからないけどとにかくやってみたい初心者の方
- 大きなリスクは取りたくない方
に向いている商品だと言えます。
具体的に本書で紹介されている商品は次の2つです。
- 世界経済インデックスファンド
これ一つで世界の株式と債券に投資できる - eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
8資産均等型。株式・債券のほかに国内外のREIT(不動産)も含まれる。手数料がトップレベルで安い
それぞれの基本資産割合と概要は下記のとおりです。


どちらも純資産総額(投資信託の規模≒人気度)も申し分なく、手数料もお手頃です。特にeMAXIS Slimに関しては破格の安さ。
ただバランス型ファンドは、その手軽さゆえに「価格の変動要因が理解しにくい」という点には注意が必要です。
良くも悪くもほったらかしでいいので、自分が今何で得をして、何で損をしているのか、初心者の方は特にわかりづらいと思います。
「バランス型ファンドは初心者向きではない!」という声もあるのはこのためです。
自分で資産を組み合わせて、もう一歩踏み込んだ投資をしてみたいという方は、次の「インデックスファンド」をおすすめします。
インデックスファンド
インデックスファンドもバランス型と同様、投資信託の1つです。
インデックスとは、市場の動向を示す指標・指数のことです。(日本なら日経平均株価、TOPIXなど)
インデックスファンドは、このインデックスと連動することを目指して運用されます。
日本株式のインデックスファンドを例に簡単に説明すると、ファンドの価格は、日本の代表的な企業や、東証一部上場企業の株価の平均値と同様の動きとなるよう組み込まれています。
つまり日本株式のインデックスファンドに投資するということは、「日本経済そのものに投資をする」と言い換えることができます。
本書ではこのインデックスファンドを、
- 日本株式を集めたもの
- 外国株式を集めたもの
- 日本債券を集めたもの
- 外国債券を集めたもの
をバランスよく買うことで、リスクを分散するようおすすめしています。
またインデックスファンドを買う際も、できるだけ手数料が安いものを選びましょう。本書がおすすめしているシリーズをここでもご紹介しておきます。
- たわらノーロード
- eMAXIS Slim シリーズ
- SMTインデックスシリーズ
全世界株式インデックスファンド
ここからは本書の内容とは異なり、個人的にいいと思う投資方法について説明します。
ちなみにここからの内容は
- つみたてNISAで口座開設を考えている人
- 長期投資をするつもりで、ある程度含み損が出ても耐えられる人(=ある程度リスクを取れる人)
人向きです。
結論から言うと、これからご紹介するのは
という方法です。
この投資方法は、「世界経済は成長し続ける」という前提に基づいています。
今まで世界は、「ITバブルの崩壊」「リーマンショック」など数々の世界的な恐慌に襲われてきましたが、いずれも乗り越え、経済を発展させてきました。
もちろん、「世界が崩壊するような大恐慌は絶対に起きない」とも言い切れませんが、特定の国や企業に投資するよりも堅実であることには間違いないです。
とはいえ株式に一括で投資する以上、ある程度の「含み損」に耐える覚悟は必要です。
投資をしていれば、今日の「コロナショック」のように、世界が大きな打撃を受けて株価が下がっていく場面もあるでしょう。
それでも「世界はいずれこの危機を乗り越えて発展するはずだ!」と信じて、愚直に投資を続ける胆力が何より大切になります。
もし
- 「米国経済は世界の平均より成長するだろう」
- 「日本経済は世界の平均より成長するはずだ」
という確信や自信がある方は、その国の株式のインデックスファンドを買うのもありです。
全世界株式よりリスクは大きくなりますが、うまくいくと高いリターンが得られます。
ちなみになぜ「つみたてNISA」かというと、
- 株式だけで投資する以上ある程度高いリターンを見込めるため、非課税の恩恵が大きい
- 長期的な保有を前提としている
からです。
さて少し長くなってしまいましたが、特におすすめするのは次の投資信託です。
実績もあり、手数料もかなり安い人気のファンドです。
こちらとよく比較される人気ファンドに「楽天・全世界株式インデックス・ファンド(通称:楽天VT)」がありますが、違いについては次の動画が参考になるかと思います。
動画を見ていただければ分かりますが、両者の違いは微々たるものなので、最終的には好みの問題になると思います。
まとめ
本記事では、投資を始めるための方法と、おすすめの銘柄について具体的にご紹介しました。
ただ一つ注意していただきたいのは、「投資は自己責任」ということです。
本書でおすすめしていたとはいえ、最後に投資することを決めるのはご自身であるということを、改めてお伝えしておきます。
「3000円投資」についてもっと詳しく知りたい!という方は、ぜひ一度本書を手に取ってみてはいかかがでしょうか?
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